ミシン針を交換するとき、「平らな面は手前と奥のどちらなのか」「針穴はどちらを向ければよいのか」と迷う人は少なくありませんが、家庭用ミシンでは基本的に針の柄にある平らな面をミシンの後ろ側、つまり自分から見て向こう側へ向けて取り付けます。
ただし、すべてのミシンで同じというわけではなく、家庭用ミシンや職業用ミシン、工業用ミシンでは使用する針の形状が異なる場合があり、特に柄の部分が丸い針では平らな面を目印にできないため、長い溝やえぐりの位置を確認して向きを合わせる必要があります。
ミシン針は単に上下運動して布を刺しているだけではなく、針が作った糸の輪を釜やルーパーが適切なタイミングですくうことで縫い目を作る部品なので、向きを間違えると目飛びや糸切れ、糸が通しにくい、縫い目が安定しないといった症状につながることがあります。
ここではミシン針の正しい向きを家庭用と職業用の違いから整理し、針のどこを見れば表裏を判断できるのか解説します。交換するときの手順やトラブルが発生時の確認ポイントも説明していますので、久しぶりに針交換をする人でも自分のミシンに合った状態を判断しやすくなります。
ミシン針の向きは家庭用なら平らな面を後ろにする
一般的な家庭用ミシンで使われる家庭用ミシン針には、柄の一部が平らになっている部分があり、この平らな面を後ろ側に向けて針棒へ差し込むのが基本です。
ジャノメの案内でもミシン針は平らな面を向こう側にセットすると説明され、JUKIの家庭用ミシンの取扱説明書でも新しい針の裏面にあたる平らな面を後ろにして差し込む方法が案内されています。
ただし職業用や工業用には柄が丸い針を使用する機種があり、家庭用と同じ目印が存在しないため、「ミシン針なら全部平らな面を後ろ」と覚えるのではなく、自分のミシンで使う針の種類まで確認することが大切です。
家庭用は平らな面が後ろ
一般的な家庭用ミシンでは、針の上部にある太い柄を指で触ると一方が丸く、反対側の一部分だけが平らになっており、この平らな面をミシン本体の後ろ側へ向けて取り付けると覚えておくと判断しやすくなります。
針穴だけでなく、取り付ける柄の形を確認して取り付けましょう。
家庭用針の柄が平らになっているのは正しい方向へ取り付けやすくするためです。たとえばアックスヤマザキの家庭用ミシンでも、丸い表面を正面に、平らになっている面を後ろ側にしてストッパーまで差し込む方法を案内しています。
針を差し込む途中で止まったように感じても、実際には針棒の奥まで入っていない場合があるため、向きを合わせた後は針が止まる位置までしっかり押し上げてから針止めねじを締めることも重要です。
なお、一部の機種では一般的な説明と異なる可能性があるため、取扱説明書で確認してください。
職業用は針のえぐりを見る
職業用ミシンでは家庭用針ではなく、上部の柄が一周丸くなった工業用系統の針を使用する機種が多いため、家庭用のような要領では正しい向きを決められません。
このタイプでは針の側面に伸びている長い溝と、針穴付近にある小さなくぼみ「えぐり」を目印にし、機種が指定する向きへ正確に合わせてから針棒の奥まで差し込む必要があります。
JUKIの公式通販で案内されている工業用ミシン針の例では、えぐりが右側、細い溝が左側となる向きが紹介されており、向きがずれると糸切れ、目飛び、針折れなどにつながる可能性があるとされています。
ただし職業用や工業用ミシンは機種や針の規格によって指定が異なる場合があるので、「職業用なら絶対に右」と記憶だけで取り付けるより、使用中の機種の取扱説明書に掲載された図を基準に判断するほうが確実です。
特に丸柄の針はねじを緩めれば少し回転した状態でも固定できてしまうため、交換前の針の向きを写真に残すか、長い溝とえぐりの位置を確認してから取り外すと、初めて交換する場合でも元の位置を再現しやすくなります。
家庭用と職業用では目印が違う
ミシン針の向きを迷わないためには、家庭用と職業用で「正しい方向を判断する目印」が異なることを最初に理解しておくと、ネット上で異なる説明を見かけても混乱しにくくなります。
家庭用ミシンでは柄の平らな面が大きな目印になり、職業用や一部の工業用では長い溝やえぐりの位置が重要になるため、自分が使っているミシンの種類を確認せずに別タイプの説明を参考にすると、正反対の向きに取り付けてしまう可能性があります。
| 確認項目 | 一般的な家庭用 | 職業用の代表例 |
|---|---|---|
| 柄の形 | 一部が平ら | 丸柄が多い |
| 主な目印 | 平らな面 | 長い溝・えぐり |
| 代表的な向き | 平らな面を後ろ | 機種指定に合わせる |
| 確認方法 | 柄を触る | 針側面を見る |
| 最終判断 | 取扱説明書 | 取扱説明書 |
ロックミシンについても家庭用針を使用する機種があり、JUKIの小型ロックミシンの取扱説明書には針の平らな面を向こう側へ向けて入れる例が記載されているため、ミシン本体の種類だけでなく指定されている針の規格を見ることも役立ちます。
つまり最も安全な覚え方は「家庭用の一般的なHA×1系は平らな面を後ろ」としたうえで、丸柄の針や特殊な機種では溝とえぐりを取扱説明書の図に合わせるという2段階で判断する方法です。
長い溝は上糸が収まる側
ミシン針には針穴から柄の方向へ伸びる細長い溝があり、縫製中に針が布を通過するとき、上糸がこの溝に沿って収まることで糸への摩擦を抑えながら上下運動できるようになっています。
家庭用ミシンでは柄の平らな面だけを確認すれば方向を合わせやすいものの、針の構造を知っておくと、向きがわからなくなったときに長い溝や反対側のえぐりまで観察して取り付け状態を判断できるようになります。
職業用や工業用で丸柄の針を使用する場合には、特にこの構造が重要です。JUKIの工業用機種の取扱説明書にも、針の長溝を指定された方向へ向けて、針棒の奥まで差し込む取り付け方法が記載されています。
針穴だけを見ると穴が小さいため方向を判断しにくく、視力や照明条件によってはわずかな回転のずれにも気付きにくいものです。柄から針先まで続いている溝を横から確認するほうが、方向を把握しやすいことがあります。
取り付け後に上糸を通しにくくなった場合も、単に糸通し器の不調と決めつけず、針が正しい方向を向いているか、針棒の奥まで入っているか、使用する針が機種に適合しているかまで順番に確認すると原因を絞りやすくなります。
えぐりは釜が糸を拾うために重要
針穴の近くをよく見ると、長い溝とは反対側付近に少し削られたようなくぼみがあり、この部分は一般に「えぐり」やスカーフと呼ばれ、釜の剣先やルーパーが針に近づいて上糸のループを拾いやすくするうえで重要な形状です。
ミシンは針が布を貫通して戻り始めた瞬間にできる上糸の輪を釜側が捉えて下糸と絡ませるため、針の向きが大きくずれると釜と糸の位置関係が変わり、正常な縫い目を形成しにくくなる場合があります。
そのため針交換直後から突然目飛びが始まった場合や、交換前には問題なく縫えていたのに上糸が頻繁に切れるようになった場合は、糸調子を大きく変更する前に針の向きを確認する価値があります。
一方で目飛びの原因は針の向きだけとは限らず、曲がった針、布に適さない針、針の差し込み不足、上糸の掛け間違い、釜周辺の糸くずなどでも起こり得るため、向きを直して改善しなければほかの基本項目も確認してください。
針の構造を理解すると「平らな面を後ろ」という暗記だけでなく、なぜ方向を合わせる必要があるのかまで理解できるため、別のミシンを使うときにも取扱説明書の図を読み取りやすくなります。
向きが違うと縫い目に症状が出る
針を逆向きや斜め向きに取り付けてもモーターが動いて針が上下する場合があるため、取り付けミスにすぐ気付けるとは限りませんが、実際に縫い始めると糸や縫い目にさまざまな異常が現れることがあります。
特に針交換を境に問題が始まった場合は、交換前後で変化した部分が針である可能性が高いため、複雑な糸調子や内部機構を疑う前に、針の方向、差し込み量、固定状態を見直すと効率よく原因を確認できます。
- 縫い目が飛ぶ
- 上糸が頻繁に切れる
- 糸通し器が合わない
- 縫い目が安定しない
- 異音がする
- 針が折れる
JUKIの工業用針向け案内でも、針の向きがずれた状態では糸切れ、目飛び、針折れなどの原因となり、きれいな縫い目を作りにくくなることが紹介されています。
ただし異音や針折れがある状態で何度も試し縫いを続けると、針板や釜など別の部品まで傷つける可能性があるので、明らかな接触音を感じた場合は使用を止め、針の取り付けと適合性を確認してください。
最後は取扱説明書で機種を確認する
家庭用ミシンの多くで平らな面を後ろへ向ける方法が使われていますが、ミシン針の向きを最終的に判断するときは、メーカー名だけではなく実際に使用している型式の取扱説明書を確認するのが確実です。
同じメーカーでも家庭用、職業用、刺しゅう対応機、ロックミシンなどでは針の規格や固定方法が異なる可能性があり、ネット検索で見つけた別機種の交換方法がそのまま自分のミシンに当てはまるとは限りません。
取扱説明書が手元にない場合は、本体の前面や背面、底面付近に記載された型式を確認し、メーカー公式サイトで型式名と「取扱説明書」を組み合わせて探すと、針の交換方法や指定針を確認できる場合があります。
特に中古品や家族から譲り受けたミシンでは、現在取り付けられている針そのものが正しい規格とは限らないため、今付いている針をそのまま基準にするのではなく、説明書に記載された針の種類から確認することが大切です。
「平らな面を後ろ」は家庭用ミシンを扱ううえで役立つ基本ですが、それを絶対的なルールとして使うのではなく、針の形状と機種指定を組み合わせて判断できるようになると交換時の失敗を減らせます。
ミシン針を正しい向きで取り付ける手順
針の向きが分かったら、実際の交換では電源を切り針を上げ、針を正しい方向で奥まで差し込んで固定しましょう。
向きだけが正しくても針が奥まで差し込まれていなかったり、針止めねじが十分に締まっていなかったりすると縫製中のトラブルにつながるため、交換作業は方向と固定状態をセットで確認することが重要です。
針は細く鋭いうえにミシンの可動部分へ直接取り付ける部品なので、作業中の誤作動を避けるためにも、メーカーの説明書で指定された安全手順を守って交換してください。
最初に電源を切って針を上げる
針交換を始める前にはミシンの電源を切り、可能であれば電源プラグも抜いた状態にして、不意にスタートボタンやフットコントローラーが作動しない環境を整えてから針周辺へ手を入れます。
次に、はずみ車や針上下ボタンを使用できる状態であれば作業前に針を最上位置へ移動しておくと、針止めねじや針の柄を確認しやすくなり、新しい針を差し込むスペースも確保しやすくなります。
- 針を最上位置へ上げる
- 電源を切る
- 押え周辺を整理する
- 交換する針を準備する
- 必要ならドライバーを用意する
JUKIの家庭用ミシン取扱説明書でも針の交換は電源スイッチを切って行うよう警告されており、交換前には曲がった針や先端が傷んだ針を使わないことも案内されています。
「少し緩めるだけだから」と通電したまま作業するのではなく、毎回同じ安全手順を習慣にすると、針交換に慣れてから起こりやすい不用意な操作も防ぎやすくなります。
古い針を下へ抜いて状態を見る
針止めねじを指定された方向へ緩めたら、針が落下しないよう片手で持ちながら下方向へゆっくり抜き、外した針の向きと形状を確認してから新しい針を準備します。
まだ正しく縫えていた針を交換する場合には、外す前にスマートフォンで針の方向を撮影しておくと、丸柄の職業用針などで新しい針の方向に迷ったときの参考にできます。
外した針は先端だけでなく軸が曲がっていないかも確認し、平らな台の上へ置いたときに軸と台の間隔が不自然に変化している場合や、針先がつぶれている場合には再使用を避けたほうが安心です。
ジャノメも曲がった針は交換するよう案内しており、針が正しく取り付けられていないことや針止めねじの緩みも針折れを招く要因として挙げています。
古い針に問題が見つからなくても長期間使用した針は先端が摩耗していることがあるため、新しい針へ交換した後は古い針と混ざらないよう分けて処分または保管すると管理しやすくなります。
新しい針を奥まで差して固定する
新しい針を取り付けるときは、家庭用であれば柄の平らな面を後ろへ向け、針棒の穴に沿って上へ押し込み、そこで止まる位置までしっかり差し込んでから針止めねじを締めます。
途中までしか差し込まれていない状態では針穴の高さそのものが変わるため、針の向きが合っていても釜が適切な位置で上糸を拾えず、目飛びや縫えない症状が発生する原因になり得ます。
| 取り付け確認 | 見るポイント |
|---|---|
| 針の向き | 指定方向になっている |
| 差し込み | 奥まで入っている |
| 針止めねじ | 確実に固定されている |
| 針の状態 | 曲がりや傷がない |
| 針の規格 | 機種に適合している |
家庭用ミシンでは針の平らな面と針棒側の形状が合うことで方向を定めやすくなっていますが、無理な角度から押し込まず、入りにくい場合はいったん抜いて向きが本当に合っているか確認してください。
最後にねじを確実に固定したら、すぐ高速で縫い始めるのではなく、はずみ車を手前へゆっくり回して針が針板や押えに接触しないことを確認してから試し縫いへ進むとトラブルを早期に見つけやすくなります。
ミシン針の向きを間違えると起こりやすいトラブル
ミシン針の向きが正しくない状態では、針自体は上下していても、上糸のループを釜やルーパーが正常に捉えられず、縫い目が飛んだり糸が切れたりすることがあります。
特に「針を交換するまでは普通に縫えていた」という状況なら、機械内部の故障を疑う前に、取り付けた針の表裏、差し込み位置、ねじの固定、針の種類を見直すことが効率的です。
ただし同じ症状は糸掛けや針の劣化などでも発生するため、向きを修正しても改善しない場合は一つの原因だけに決めつけず、基本項目を順番に確認する必要があります。
目飛びが続く場合は針から確認する
縫っている途中で一定間隔または不規則に糸がつながらず、ステッチが抜けたようになる目飛びは、針の向きや取り付け位置に問題があるときに現れる代表的な症状の一つです。
針が正しい高さと方向で取り付けられていると、布を通過して上昇する際に上糸のループが形成され、釜がそれを拾うことで縫い目が作られますが、針が回転しているとこの位置関係が崩れる場合があります。
- 針の平らな面を確認
- 針を奥まで差し込む
- 曲がった針を交換
- 布に合う針を選ぶ
- 上糸を掛け直す
- 押えを正しくセット
ニットや伸縮性のある素材では針の向きが正しくても通常針では目飛びしやすいことがあり、JUKIのロックミシン取扱説明書でもニットや目飛びしやすい生地には対応するニット針を使用する例が示されています。
向きを確認しても特定の生地だけで目飛びする場合は、機械の故障と考える前に針の種類や番手と生地の組み合わせも見直し、不要な調整を増やさないことが大切です。
上糸が切れるなら溝と糸掛けを見る
針交換後に上糸が突然切れやすくなった場合は、針の向きがずれて糸が本来通る位置から外れていないか、針穴周辺で不自然な摩擦が生じていないかを確認してください。
ミシン針には上糸を保護するための長い溝があるため、職業用など丸柄の針を自由に回転させられる機種では、指定位置からずれた状態で固定すると糸の通り方にも影響する可能性があります。
ただし上糸切れは糸掛けの間違い、上糸調子が強すぎる、古い糸を使っている、針穴に対して糸が太い、針先や針穴が傷んでいるなど複数の原因で発生します。
そのため針を正しい方向へ取り付け直した後はいったん上糸を完全に外し、押えを上げた状態でメーカー指定の順路に沿って最初から糸を掛け直すと、針交換時に外れた糸道も同時に確認可能です。
向きと糸掛けを直しても短い距離で何度も上糸が切れる場合には無理に縫い続けず、針の規格、糸の太さ、針板や釜周辺の傷なども確認し、必要に応じてメーカーや販売店へ相談してください。
針折れは向き以外の原因も確認する
針が折れる症状では、取り付け方向の間違い以外にも、針が奥まで入っていなかったりネジが緩んでいたり、針が曲がっていたり、布の厚さに対して針が細すぎたり、複数の原因が挙げられます。
特に厚い段差を縫うときに布を強く引っ張ると、針が上下する進路そのものが横方向へ曲げられ、正常な向きで取り付けた新品の針でも針板や押えに接触して折れる可能性があります。
| 症状 | 優先して確認する点 |
|---|---|
| 交換直後に折れる | 向き・差し込み |
| 厚地で折れる | 針の番手 |
| 押えに当たる | 針位置・模様 |
| 縫製中に緩む | 針止めねじ |
| 頻繁に曲がる | 布を引く操作 |
ジャノメの学校向け案内でも、針の正しい取り付けや曲がり、針止めねじ、布に対する針の太さなどが針折れ時の確認事項として紹介されています。
針が折れた後は新しい針へ交換するだけでなく、折れた破片が釜周辺に残っていないことや針板に大きな傷が付いていないことも確認し、異音が残る場合は使用を控えるほうが安全です。
針の向きを直しても縫えないときの確認ポイント
家庭用ミシンの針を平らな面が後ろになるよう取り付け直しても正常に縫えない場合は、針の向き以外の条件が同時にずれている可能性があります。
針交換の際には上糸が外れたり、針の種類を取り違えたり、古い針と新品を混同したりすることがあるため、一度基本設定を整理してから試し縫いを行うと原因を切り分けやすくなります。
いきなり糸調子器や釜のタイミング調整へ進むのではなく、利用者自身で安全に確認できる針や糸、ボビン、押え、設定の順番から見直すことが重要です。
針の種類と番手を生地に合わせる
ミシン針には種類と太さの違いがあり、向きが完璧でも生地に合わない針を使っていれば、目飛びや糸切れ、針折れ、生地の傷みなどが発生することがあります。
薄い生地に必要以上に太い針を使うと針穴が目立ちやすくなり、反対に厚地を細い針で無理に縫うと針がたわんで折れやすくなるため、糸の太さを含めた組み合わせで選ぶことが大切です。
- 薄地には細めの針
- 普通地には標準的な針
- 厚地には適した太めの針
- ニットには対応針
- 特殊素材は専用針も検討
さらに家庭用ミシンへ職業用の丸柄針を入れるなど、そもそもの針規格が違えば正しく固定できないため、購入時には見た目だけで選ばず、説明書に記載されたHA×1などの規格を確認してください。
針のパッケージを保管しておけば交換時に規格や番手を確認できるので、複数種類の針を使い分ける人はケースごとに用途を書いておくと、似た形状の針を混同する失敗を減らせます。
上糸とボビンを最初からセットし直す
針の方向に問題がないのに縫えない場合は、針交換作業中に上糸が糸案内や天びんから外れている可能性があるため、糸を途中から直すのではなく一度完全に外して最初から掛け直します。
上糸を掛けるときは機種によって押えを上げる必要があり、糸調子皿へ糸が正しく入っていない状態では、表側や裏側に糸が大量に出るなど針の向きとは異なるトラブルが生じます。
| 確認場所 | 見るポイント |
|---|---|
| 上糸 | 指定経路を通っている |
| 天びん | 糸が掛かっている |
| 針穴 | 指定方向から通す |
| ボビン | 正しい向きで入れる |
| 下糸 | 指定位置を通す |
水平釜と垂直釜ではボビンの入れ方や糸の通し方も異なるため、以前別のミシンを使っていた人ほど記憶だけでセットせず、現在の機種に描かれている糸掛け図を確認するほうが確実です。
針交換後のトラブルでは複数の設定を同時に変更すると原因が分からなくなるので、まず針、次に上糸、続いてボビンというように一項目ずつ正常な状態へ戻して試すと問題を特定しやすくなります。
改善しなければ説明書と修理相談を使う
針の向きや種類、差し込み位置、上糸、ボビンまで確認しても縫えない場合は、使用している機種特有の操作や設定が関係している可能性があるため、型式に対応した取扱説明書を確認しましょう。
コンピューターミシンでは選択している模様によって針位置が変わる場合があり、取り付けた押えと針位置が合わなければ接触することもあるため、直線縫いへ戻した状態で試すのも有効です。
また、新品の針を取り付けても毎回同じ場所で目飛びしたり、はずみ車を手で回しただけで金属同士が接触したり、針が針板の穴の中央から大きく外れたりといった症状が出る場合は、内部調整が必要な可能性もあります。
釜と針のタイミングなど内部機構の調整は機種ごとの知識や工具が必要になるため、メーカーのサポートや購入店、ミシン修理店へ相談しましょう。
問い合わせる際にはメーカー名と型式、使用している針の規格、いつから症状が出たか、針交換前は縫えていたかを伝えると状況を説明しやすく、可能であれば針周辺や縫い目の写真も準備すると役立ちます。
ミシン針を間違えずに交換するためのコツ
ミシン針の交換は一度仕組みを覚えれば難しい作業ではありませんが、針の部位が小さく見分けにくいため、毎回同じ確認方法を決めておくと表裏の取り違えを減らせます。
特に頻繁に針を交換しない人は数か月後に向きを忘れやすいので、「家庭用は平らな面を後ろ」という基本に加え、自分の機種でどこを見れば判断できるかを説明書や写真で残しておくと便利です。
また、向きだけでなく針の規格や交換時期まで管理すると、久しぶりにミシンを使った際の目飛びや糸切れを防ぎやすくなり、原因探しに時間を取られにくくなります。
交換前に針の向きを写真で残す
職業用の丸柄針や初めて触るミシンで交換する場合は、古い針を外す前にスマートフォンで針周辺を正面と横から撮影しておくと、新しい針を取り付ける際の参考資料になります。
家庭用ミシンでも写真を残しておけば、平らな面だけでなく針止めねじの位置や糸の通し方、針穴へ上糸を通す方向などをまとめて確認できるため、作業途中で迷ったときに便利です。
- 正面から針を撮る
- 側面から溝を撮る
- 針止め位置を残す
- 型式ラベルも撮る
- 針パッケージも保存する
ただし、譲り受けたミシンや不調のあるミシンでは、交換前の針が最初から間違った向きで付いている可能性もあるため、写真はあくまで参考として使い、最終的には説明書に掲載された正しい図と照らし合わせてください。
自分で正しく取り付けたことが確認できた後の写真を残しておけば、次回以降は信頼できる見本になり、交換作業に慣れていない人ほど一度正しい状態を記録しておくメリットがあります。
新品の針と使用済みを分けて管理する
針の向きを正しく取り付けても、使用済みで先端が摩耗した針やわずかに曲がった針を新品と勘違いして使えば、縫い目の乱れや生地へのダメージが起こることがあります。
ミシン針は細いため肉眼では新品との差が分かりにくく、一度外した針を元のケースへ戻すと、後から新品と使用済みを区別できなくなることがあるので保管場所を分ける方法が有効です。
| 管理対象 | おすすめ方法 |
|---|---|
| 新品 | 元ケースで保管 |
| 使用中 | 種類をメモ |
| 再利用予定 | 別ケースへ移す |
| 曲がった針 | 再使用しない |
| 用途 | ラベルで分類 |
普通地用、厚地用、ニット用など複数の針を使う場合には、針のサイズだけを見て判断せず、パッケージや専用ケースと一緒に保管すると誤使用を防ぎやすくなります。
交換後に縫い心地が急に悪化したときも、使用中の針の種類が分かっていれば原因を早く絞れるため、針管理は単なる整理ではなくミシントラブルを減らすための実用的な習慣になります。
交換後は低速で試し縫いする
針を交換してねじを締めた直後は、作品本番を高速で縫い始めるのではなく、不要な端切れを使って低速で数センチ試し縫いし、縫い目や音に異常がないか確認することをおすすめします。
できれば電源を入れる前にはずみ車を手前方向へゆっくり一周以上回し、針が押えや針板へ当たらず上下できることを確かめると、取り付けミスによる接触を早い段階で発見しやすくなります。
試し縫いでは表側だけでなく布の裏側も確認し、ステッチが飛んでいないか、糸が大量に絡んでいないか、上糸と下糸のバランスが極端に崩れていないかを見ます。
問題があった場合は一度に糸調子や針位置などを変更せず、まず電源を切って針の方向と差し込み量を再確認し、その後で上糸やボビンを確認しましょう。
交換後の短い試し縫いを毎回の習慣にすれば、作品を何十センチも縫ってから針の向きが違っていたことに気付く失敗を防ぎやすく、縫い直しや生地へのダメージも減らせます。
正しい針の向きを覚えれば交換時に迷いにくい
一般的な家庭用ミシンでは、ミシン針の柄にある平らな面を自分から見て向こう側、つまりミシンの後ろ側へ向け、針棒の奥で止まる位置までしっかり差し込んでから針止めねじを固定するのが基本です。
一方、職業用や工業用で丸柄の針を使用する機種では家庭用のような平らな柄を目印にできないため、長い溝や針穴付近のえぐりを指定方向へ合わせる必要があり、機種によって条件が異なる可能性があることから取扱説明書の図を最終基準にしてください。
針交換後に目飛び、糸切れ、針折れ、糸通しの違和感などが現れた場合は、複雑な調整を始める前に、針の向き、奥まで差し込まれているか、針止めねじ、針の曲がり、針の種類と番手を確認し、その後で上糸やボビンを最初からセットし直すと原因を整理しやすくなります。
「家庭用は平らな面を後ろ」という基本を覚えつつ、自分のミシンの型式と指定針を確認する習慣を付けておけば、久しぶりの交換でも迷いにくくなり、正しく取り付けた後に端切れで低速の試し縫いを行うことで、異常にも気付きやすくなります。

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